びっくりムンク
出かけたとき、本持ってくるの忘れたから、途中でこんなの買った。
いろんな名画の勘違いと真相、みたいな豆知識本。
名画がいろいろ見れるから買ったんだけど、いろんな解説は「ふーん」って読んでたのに、ひとつだけわたしには衝撃の事実があった。
ムンクの『叫び』。
このタイトルの人物の表情から、多くの方が私同様にこの人物が叫んでいるのだと思われることでしょう。ところが、この人物が叫んでいるのではなく、ムンク自身が夕暮れどきに体験した”自然を貫く叫び”という幻影を表現したものだと知ったときには私も驚愕。人物も叫んでいるのではなく、耳をふさいで叫びから自分自身を守ろうとしているのだと知って、よりいっそう驚いたものでした。
///『名画は嘘をつく』// 木村泰司
えー。そーなのー。
って、ここ読んで、わたしもびっくりした。
ここにもおなじこと書いてあった。
えー。そーなのー。
って、わたしの「驚き」は。
この絵の人が叫んでる、ってフツーは思うもんだったの?
っていう驚き。
これをはじめて見た年齢ってぜんぜん記憶にないけど、たぶんまだ小学生とかだった気がする。
タイトルが『叫び』っていうのを知らないうちに絵だけ見て、「悲鳴」だと思った。
その悲鳴は、声にならない悲鳴ね。
この絵の人物が、周りの「声」に耳を塞いで、声にならない悲鳴をあげてる、っていうふうにわたしはとらえてた。
この人物の周りに「声」が聞こえるんだよね。
絵、なのに、音が聞こえるの。
ヒョオオオオオっていうのと、コーンコーンっていうかんじのニンゲンの声なのかなんの声なのかわかんないけど2種類の「声」が聞こえて、この絵ぜんたいがラズベリーの味がする。
音と味覚が同時に襲ってくる「うるさい絵」って、わたしはかんじてた。
この耳塞いでる人は、この「うるささ」からじぶんを守ってる、ってかんじてたの。
わたしもこの絵を見てると、おなじように耳をふさいで悲鳴あげたくなるような感覚があったから。
絵を見てるわたしは、そこまでほんとにするほどの強烈なうるささはかんじないんだけど、絵の中にいるこの人物は、このうるさい中にいるから耳ふさぎたくなるよねー、って共感があって。
この絵を見てると、絵のこっち側にいるじぶんが、くるっとこの絵の中のほうにはいりこんじゃって、とつぜんヒョオオオオオ、コーンコーン、って声がダイレクトに聞こえて、耳ふさいで橋にしゃがみこんでしまうような幻覚も襲ってくる。
音がしてるのは、この人物から発してる声じゃなくて、この人物の周り。
って、わたしはずっとこの絵を見るたびに感じてたから、フツーはこの人物が叫んでるようにとれるのかー、って知ってびっくりした。
この耳ふさいでる人、声だしてる顔じゃないじゃん。
息を吸い込んでる顔じゃん。
って、わたしには見えるんだけどー。
悲鳴の声も吸いこんじゃって音になってない。
「叫び」はこの絵の右から聞こえてくるよね。
そういう絵だよね。
って、おもってた。
その叫び声は聞こえる人と聞こえない人がいて、聞こえない人はフツーに橋歩いてるけど、聞こえる人は耳ふさいじゃう。
ってイメージでこの絵をずっと見てた。